プレ感想

 母の勧めがあったのはいつだったか、長らく積ん読状態だった文庫本を12/3の日から昨日にかけてで読み終えている。感想を書く前にもう一度読みたい。
 読んだ直後にもう一度読みたいと思う活字の本は、最近ではとても珍しい体験だった…と言うのが、暫定感想である。

恍惚の人 (新潮文庫)

恍惚の人 (新潮文庫)

摘木葉枝芽さんの本

 先ほど最新刊Amazonで注文したが、今回この記事で紹介したいのは既刊のほう。

 人力検索のほうで紹介して貰ったページの記事の中に、次のような文面を見つけた。[以下引用]

今さらなんだけど、みゆきたちのネクタイってそれぞれのカラーの色してるんだね。あかねは橙じゃなくて赤だけど。他の生徒は赤だから、赤が正しいのかな?

みゆき達は、校則違反なんだろうか?

それとも、自分の脳がプリキュア脳になってしまって、勝手にプリキュアカラーに脳内補正しているだけだろうか?

なんでも蝶 キュアデコルゲット!2012年2月19日第3話

[引用終]
 そんな疑問でモヤモヤするときは、「おともだち よみきかせ絵本シリーズ26 スマイルプリキュア!(1)」を確認して欲しい。
 TVシリーズが始まって比較的間もない時期にリリースされた絵本であるが、この絵本の挿絵を見ると、他の生徒たちのネクタイの色も赤だけでないことが判る。TVでも本当は生徒それぞれが好きな色のネクタイを着用しているのだが、それをそのまま表現してしまうと色の塗り分けの指定や結果のレビューに工数が掛かり過ぎてしまうし・誰が主役だか判りづらくなってしまうため、デフォルメして表現しているのではないか…とブログ筆者は解釈している。主人公格以外のキャラの髪が比較的地味な色で塗られているのと同じ理由だと思うのだ。
 だから、みゆき達が校則違反なんだろうか?と心配する必要はない。アニメの主人公の髪がオレンジ色や緑色に塗られていても、必ずしも髪を染めていることを意味する訳ではないのと同じように読み解けば良いのだと思う。
 ハートキャッチプリキュア!で2冊、スイートプリキュアで2冊…と発表されて来た文/摘木葉枝芽さんになる絵本はこれで5冊目であるが、相変わらず良いところは変わっていない。今回はプリキュアが5人と言うこともあり、見せ場として描くざるを得ない変身に相当な行数を割いてはいるが、安心して読める、気持ちが温かくなる文面は変わらない。
 みゆきが転校生であることは絵本では描かれておらず、プリキュアの物語の絵本をみゆきが読んでいるシーンから始まる。次の未開きから「みゆきはまた絵本?」などと話しかけてくるあかねたちは、何の説明も必要なく・当たり前にみゆきの友達である。*1
 転校と言うイベントはドラマチックではあるが、転校前はどうだったのかとか様々な余分な憶測も髣髴させてしまう。転校生と言う設定を避けたのはページ数・行数の都合からだったのかも知れないが、いずれにしても結果として・絵本の読者にとって必要な内容だけがギュッと詰まった文面になっているのは毎回気持ちが良い。
 最終の見開きに「おはなし しっかり きけたかなクイズ!」が収録されるようになったのは、過去4冊からのフォーマット上の変更になる。賛否はあるかも知れないが、より低年齢層の読者を意識した試みだろう。

蛇足

 以下は、ブログ筆者の妄想。
 七色ヶ丘中学校(これはTV版の設定で、絵本では学校名は表現されていない)と言うくらいなので、キチョーとしては制服のネクタイは7色から選んで良いことになっているのだと思う。追加戦士2名分の色が用意されていると、TV開始時点では考えていたものだ。
 少なくとも人気のあるネクタイの色は赤で、(20%よりは目立って多い程度の)比較的多くの生徒が赤色のネクタイを選んでいる…と言う解釈は出来るだろうと、最初の10数話くらいまでは考えていたような気がする。みゆきよりも1年早く転入してきたあかねは、新しい学校に早く馴染みたくて着用者の多い赤を選んだ…とかの設定もあったりして、とも考えていた。
[前回のレビュー]

*1:強いて言うと「また」の2文字で良く知り合った友達であることを説明している。大変上手な文面と思う

小説版NewStage

 足かけ2日で読了。前作のノベライズは読んでも映画のあらすじを詳しく聞かされた程度で「ふーん」で終わる感じだったが、この小説版は仲々よかった。
 小説版での作者が前作から変更になっているが、読了後の感触の優劣の理由をそこに紐づけようとしたら、DX3のノベライズ(前作)を手掛けた作者さんには災難だろう。
 もともと本作の原作者らが表現したかった内容は、台詞による直接的な説明よりもむしろ視覚効果と音響(映像と音楽)とで伝わるように描かれていたが、小説版では主人公の心情を直接的な文章表現で描写してあるトコロがアツい。
 読んでいて、ところどころ目が潤んだ。姪(映画を劇場で2回観ている)もこれを買って読んだと聞いているが、映画は映画・小説は小説で満足出来たのではないかと思って(今目の前にいるので)訊いてみたら「全然読んでない」との返答だった。
 姪の感想は兔も角、キチョーとしては何度も読める内容に思うので、お皿が届いたら交互に繰返し楽しみたい。

(※2012.05/20に改稿済み)

積ん読10年

 本に挟んであったレシートの日付2001.02/25に買ってから、実に長いこと積ん読だったらしい。
 どちらかと言えば真面目な学生を想定して真面目な先生が書いたような本であって、専門家でも説明が難しい内容が平易を装った文章で書かれているので、初級のホビーストが「パソコンプログラミング入門以前」と言うタイトルを真に受けて軽い気持ちで読もうとしたら挫折するタイプの教科書だ。決して悪書ではない。
 比較的最初の章で、デバッガと言う道具を使えば機械語レベルでのパッチあてが出来るのでコンパイラー&リンカーに立ち戻らずにその場で修正効果を確認出来て便利であると言う主旨のことが平易な文章でしれっと紹介されていた辺りは面白かった。その便利さを正確に理解して・且つ実践して実感出来る先輩プログラマは、10人に1人いたら優秀な会社と言える程度だろう。
 後半になるにつれて先生の熱心さが薄れてしまったためか、全体としては読んでも面白味が感じられない説明(上級者にとっては知っている内容の、非常にゆっくりな説明。そして自分が先生になった場合の参考にもならない)が延々と続いた印象で退屈だった。
 特筆すべき点として、10年前に買った技術書としては特に話題の古さを感じなかった。この10年にもソフトウェア開発に関するキーワードが目が眩む数宣伝されたけれども、この本が取り上げたような技術の根本の部分では、適度に抽象化された書き言葉が追従出来ないようなパラダイムシフトは起こってはいないようだ。中年プログラマとしては、ほっとする。

パソコンプログラミング入門以前

パソコンプログラミング入門以前

本当は毎月1冊10日までに読み終えたい(2011.10/24記す)

 この日の病院の待ち時間は比較的長く、3分の1弱残っていたのを読み終えた。この日の移動中カバンが不必要に重いと感じられて苦痛だった理由はコレに違いない。
 最新技術を知りたいにはかなり古い本であるが、積読になっていた1冊を、今月の読み物にチョイスした。古いけれども、割としっかり書いてあると思う。独学で使うよりは、先生がついた授業で使うのに程好い内容だと思う。
 薄い中に(誰かが必要と思った)全てを詰め込んで書かれているために、難解で・1〜2章前に書いてあったことを3〜4ワードでも忘れていると理解不能であるが、恐らく監修の長瀬嘉秀さんの丁寧なRVにより、ある一貫した信念の元で「必要なことはどこかにちゃんと書いてある」と信ずるに足る内容になっていると感じた。
 UMLは統一記法ではあるけれど、仕様書(設計書)を読みたい読者の100%が勉強熱心でもないし、特に読ませて理解させるべきプログラマ(当初の読者の筈)は往々にして不勉強*1なので、その設計資料で多用する作図の意味やその説明は、冒頭の凡例などに書いておきたいなぁ…と言う思いを新たにした。
 資料の類は読者がそれを読むことで知る必要があることだけを簡潔に書こうとしたらダメで、読者と筆者が共通して知っている筈のことのおさらいから始めるべきだと思う。

図解入門よくわかる最新UMLの基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)

図解入門よくわかる最新UMLの基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)

*1:ここは誤解を招く。100%誤解のない言い方をするのは土台無理だが、次のようなケースを誇張するために挑戦的に「往々にして不勉強」と言っている。(1)ソフト開発のごく一部では、システムの深奥を知ら(せ)ずに済ませたい不勉強且つ経験不足のリソースだけを投入して・ラピッド開発環境の安直さに頼るようにして、製品を仕上げる必要がある。(2)不幸な場合、勤勉で優秀なエンジニアをして研鑽する時間を削るほどの残業が強いられている。

朝起きてちょこっとした時間で読了(2011.10/13記す)

 記憶違いでなければ、この日の朝、出社前のちょっとの時間だけで読了。漫画なのでボリューム感はない。全3回の予定でオンエア中の「神様の女房」と同程度のボリューム感かと思う。(映像作品は漫画よりは充分に長い鑑賞時間を必要とするが、ヒトが感じるボリューム感は同じくらいだろうと言うこと)
 このくらいのライトさで同じ人物の伝記を見聞きするのも悪くないと思う。

松下幸之助 (学習漫画 世界の伝記NEXT) (学習漫画世界の伝記NEXT)

松下幸之助 (学習漫画 世界の伝記NEXT) (学習漫画世界の伝記NEXT)

今週のお題「おすすめの本」(2011.10/19記す)

 下書きで保留されていた記事。この稿を投ずる時点で「おすすめの本」は何週間前の話題か分からないが気にしない。
 タイトルの「検索エンジンはなぜ見つけるのか」を見た時点で「コンピュータはなぜ動くのか、プログラムはなぜ動くのかと言ったヒット本の2匹目3匹目のどじょうを狙った書物で、読んでも大して面白くないだろう」と敬遠する感覚は大体正しい。
 でもこの本に関しては意外と、後半が特に面白い。後半には「検索エンジンはなぜ見つけられないのか?」がとうとうと書いてあり、恐らく筆者のかたの言いたかったことは・そっち(後半)の内容なのだろうと思う。
 要約することで筆者のかたの言いたかったこととニュアンスが変わってしまうだろうけれども、次のような感じ。

  • 検索エンジンはユーザーの期待に従って、手軽に素早く検索結果を提示することに特化した
  • この方向性の特化の結果として、情報要求の種類によってはあまり役に立たない検索結果しか提示出来なくなった
  • この特化の方向性は、今後もそう変わらないだろう。直接的なユーザの期待もそうだし、検索エンジンを運営する企業等としては(本来あるべき方向にユーザーを教化するよりも)直接的なユーザの期待に応えるサービスを提供するほうが目先の利益に繋がるだろうから
  • それに比べると、訓練をつんだ司書様に書籍を探して貰うプロセスは、情報要求の段階の広い範囲を的確にカバーしている

 この筆者さんの纏めかたの素晴らしいところは、検索エンジンはダメダメで生身の人間の司書様は素晴らしいと言う結論は直接的には一言も書いていない*1点だと思う。本当は直接的にそう書いてあるほうが読者としては楽なのだけれども、その「答え」を性急に文字にして読者に楽をさせては(この本が)現代の検索エンジンのダメなところと同じになってしまう…と言う思いからかも知れないし、「検索エンジンはなぜ見つけるのか」と言うタイトルの手前書きづらかったからかも知れない。
 はてな人力検索も、手軽に素早く結果を提示する方向に特化し過ぎたのが面白みが減った理由だろうと思う。ヒトの発言を不用意に切り取るとニュアンスが変わることもあるだろうけれども、以前に質問の自動延長機能をもう要らないと判断を下したときの理由としてはてなの社長が言っていたのは「だらだらやっていて何が面白いのか」と言う趣旨だったような気がする*2。その時の印象がキチョーにとっては強かったからなのか、人力検索の変更は質問者が楽をして手軽に素早く結果を得られる方向に向かって行ったと感じている。少なくとも質問者にとっては、楽をした代わりに当たり前な回答しか得られなくなった気がする。
 最後に一言、書籍の感想に戻す。この本を読んで、司書様になりたかった夢を持ったことがあったのを思い出した。

検索エンジンはなぜ見つけるのか

検索エンジンはなぜ見つけるのか

*1:…と思う。書籍は既に手放したので検証はパス

*2:はてなアイデア日記で音声で聞いた気がする