先頃Bluetooth DUN開通まで至ったU8240であるが、何かと不満に感じる点が多い。
不満に感じる点が多いのは、だが悪いことではない。このマシンの印象が「実用する気になれない」だったら、そもそも不満にも感じないのだから。
無駄に確保されたキーピッチ
このマシンのセールスポイントをイキナリ真っ向から否定することになるが、キチョーにとっては最大の不満がキーボードにある。
矢印さえFn
この種のマシンではある程度仕方がないのだが、U8240は徹底してファンクション系のキーが[Fn]とのコンビネーションになっている。
[F1]〜[F12]は当たり前にそうだし、[Home][End][PageUp][PageDown]のようなカーソル移動系のファンクションキーも[Fn]とのコンビネーションになっている。4方向のカーソルキーさえ[Fn]とのコンビネーションなのは、かなり驚く。
通常[shift]+[←]で足りるテキスト選択操作も、[shift]+[Fn]+[[]と、かなり辛い。
慣れれば乗り越えられるものかどうか、ギリギリなところである。
あっても良さそうなものが備わっていない
実用本位と言うか、なくて決定的に困る訳ではないのだが、あっても良さそうなものが省略されている。なくても問題はないが、あればマニアを喜ばせるようなものも見当たらない。
Bluetooth
Bluetothについては、実は何の疑いもなく当たり前に備わっているものと思っていた。
備わっていないのに気がついたのは、ブツが届いてオンライン提供されているマニュアルを読み始めてから。
まぁ、CFの口に刺せるので致命傷ではない。*2
かなの刻印
かなの刻印がない。キーを見ながらタイプするかな入力派のキチョーにとっては非常に痛い。
ローマ字入力を常用しているヒトには信じて貰えないことが多かったのだが、英数字の羅列であるソースコードを素早く打鍵出来るキチョーがローマ字入力で和文(ソースコード上のコメントもそれだ)を打とうとすると、普段の5倍以上ももたつく。
普段はかなを1文字ずつ思い浮かべながら打鍵しているのが、頭の中でかな→ローマ字変換しながらの打鍵になるので、集中力が削がれてしまうのである。
永くりなさうを使っていたお陰で、今でこそローマ字入力にもだいぶ慣れたのだが、以前の当時は入力の仕方が分からない文字すらあった。
5〜6年前のキチョーは小さい「ぁ」(laと打つ)や長音記号の「ー」(マイナス記号を打つ)をローマ字入力で入力でする方法を知らなかった。*3
だから少し長い文を打とうとすると、とたんにPC初心者のようになった。りなざうではなくてPCのキーボードでローマ字入力しようとすると、今でも多少もたつく。
もしこのマシンを買わない結論を出していて、その理由としてなら、かなの刻印がないことは筆頭の理由になったと思う。
だが今回このマシンに関しては、かなの刻印のないキーボードでかな入力をして見せるのも格好いいかも…と思った次第。今はUSBにフルキーボードを繋いでいるので訓練になっていないが、半月くらいモバイルで使っていれば(多分)出来るようになるだろう。*4
これだけ大きなキーに対して「かな」を刻印したからと言って、ゴチャゴチャして見苦しくなる…と言うことはないと思う。かなの刻印が省略された経緯としては印刷コストなのだろうなぁと思う。1万円増しでも、かなの刻印されたキボードを用意して欲しかったところだ。
素のSDスロット
Bluetooth同様これも、現物が届いてオンラインマニュアルを読むまでは「この時期に投入されるマシンなのだから対応してるに違いない」程度に考えていたが、SDカードのスロットはSDIOには対応していない。
キチョーの保有するSDカードは全て素のSDカードだし、今後も魅力的なSDIOカードが世に出回るとは予想していない。
だが、こう言ったものは「夢」の領域を左右するので、対応していた方が勿論マニアとしては嬉しかった。
一方でSDHCに対応しているのは、不幸中の幸い。非対応だったら、「あった方が嬉しい」ではなくて「ないのが痛い」と感ずる事柄である。
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- SD IOカードには対応していません。
WingJackのような…
PalmTop PC110には、WingJackと呼ばれる電話のモジュラーの口が備わっていた。
WingJackと言うギミックは、PC側のモジュラーコネクタの体積をモジュラージャックそのものよりもコンパクトに収めた驚愕のギミックだった。当時最軽量PCとしてデビューしたPC110にこれが採用されていたことは、それを採用する必然性があったかどうかとは別問題でマニアの心をくすぐった。
WingJackが純然とPC110のために開発されたものだったかどうかは分からないが、それがPC110以外には空前絶後だったのは確かである。
WingJackのための研究開発の費用は多少なりともPC110の値段に反映されていたかも知れない。*5
今回のU8240では、そう言ったマニアを喜ばす珍しい仕掛けが見当たらない。
その他
ちょっと特殊かも知れないが、その他の不満は次の通り。
しょぼいポートリプリケータ
ポートリプリケータがしょぼい。
USBの口が4本と、LANの口、VGAの口が引き出されるだけに停まっている。
個人的にはスピーカーの口が欲しかったところである。*6
光学ドライブ一体のポートリプリケータでも良いくらいに思う。*7
U8240について話した知人は、レガシーシリアルが欲しいとも言っていた。
外部ディスプレイが反転する
りなざうで言うところのビュースタイル*8にして外部ディスプレイを繋ぐと、外部ディスプレイの映像が上下反転して出力される。
同梱されていた「お使いになる上での注意事項」の表題の注意書きに依れば修正ドライバがWeb上で提供される予定とのことだが、今のところは提供されていない。
この問題のためにビュースタイルでポートリプリケータに載せてマルチディスプレイで使いたいと言う当初の望みが(まだ)叶わない。
だがこれは、そのうち解消する筈だ。ただ1つ、ソフトウエアドライバが介在することで死ぬほど遅くなるとか電池食いになる…のようなことにだけにはならないように祈る。
電源スイッチが側面にあるのに?
電源スイッチが側面にあるのに、液晶を閉じた状態だと電源を入れることも切ることも出来ない。*9
マニュアルによれば、コンピュータを閉じた時「何もしない」に設定すると放熱が出来なくて誤動作なりしてしまうとのこと。
…いやいやいや、放熱が出来る具合が“ビュースタイル”の時と違う筈はないよね?
ポートリプリケータに載せてデスクトップ機のように使う場合、マルチディスプレイの必要がないなら、液晶を閉じた状態でポートリプリケータに載せたいンじゃないのだろうか?
液晶を閉じてないと液晶が埃を被るから、キチョーでなくて普通のヒトでも液晶を閉じた状態でポートリプリケータに載せたいと考えると思う。*10
電源スイッチが側面にあるのに液晶を閉じた状態だと電源On/Off出来ないのは、購入者を裏切っているんじゃないかと思う。
出荷時の状態が出来ないなのは構わないが、BIOSの設定か何かで蓋を閉じた状態の電源On/Offを許せるようにして欲しかった。
奇跡のバランス
悪いけれど直感として、このマシンの開発者の中に本気でUMPCを楽しみたいマニアはいなかったのだろうな…と思う。
あとほんの少し何かを間違っていたら、買わないマシンだったと思う。
奇跡のバランスであり、それも富士通の実力のうちだと思う。
*1:viで文章入力すると言うよりもcatで文章入力するように。リッチーさんなら問題ない
*2:一昔前だとビット単価と言う理由があり、ストレージ以外でCFスロットを常時的に埋めるのは許せないことだったが、今は違うので気に障らない
*3:かな入力では前者は[shift]+[あ]、後者は[へ]と[BS]の間にある長音記号が刻印されたキーで入力出来る
*4:キチョーにとっては、見せびらかすことがUMPCの価値の70%くらいを占める
*5:実際には、PC110はどう考えても安過ぎる値段で発売されたが
*6:帰宅時にポートリプリケータに載せるだけで済むように
*9:“ビュースタイル”の時はOn/Off共に出来る