積ん読10年

 本に挟んであったレシートの日付2001.02/25に買ってから、実に長いこと積ん読だったらしい。
 どちらかと言えば真面目な学生を想定して真面目な先生が書いたような本であって、専門家でも説明が難しい内容が平易を装った文章で書かれているので、初級のホビーストが「パソコンプログラミング入門以前」と言うタイトルを真に受けて軽い気持ちで読もうとしたら挫折するタイプの教科書だ。決して悪書ではない。
 比較的最初の章で、デバッガと言う道具を使えば機械語レベルでのパッチあてが出来るのでコンパイラー&リンカーに立ち戻らずにその場で修正効果を確認出来て便利であると言う主旨のことが平易な文章でしれっと紹介されていた辺りは面白かった。その便利さを正確に理解して・且つ実践して実感出来る先輩プログラマは、10人に1人いたら優秀な会社と言える程度だろう。
 後半になるにつれて先生の熱心さが薄れてしまったためか、全体としては読んでも面白味が感じられない説明(上級者にとっては知っている内容の、非常にゆっくりな説明。そして自分が先生になった場合の参考にもならない)が延々と続いた印象で退屈だった。
 特筆すべき点として、10年前に買った技術書としては特に話題の古さを感じなかった。この10年にもソフトウェア開発に関するキーワードが目が眩む数宣伝されたけれども、この本が取り上げたような技術の根本の部分では、適度に抽象化された書き言葉が追従出来ないようなパラダイムシフトは起こってはいないようだ。中年プログラマとしては、ほっとする。

パソコンプログラミング入門以前

パソコンプログラミング入門以前